良い肉体

良い両親の元に生まれました。
十分すぎる自由な環境と、最高の教育を与えてもらいました。
私はとても幸せな人間だと考えられます。


良い両親の元に生まれて、十分すぎる自由な環境と、最高の教育を受けておきながら、
このような出来損ないに育ってしまいました。
親が望んで子供を作るとき、「こんな子になってほしいな」と考えると思われます。
優しく聡明で、まっすぐに。



今の私を育てていて、本当に幸せですか?なぜ幸せですか?
自分の子供が理想から外れて育っていくさまをみて、なぜ愛想が尽きないのでしょう?

頭は悪く、顔が良い訳でもなく、抜きん出た才能も、世渡りの上手さもない。
あなたが、私の周りの人間が、どうして私に笑顔を向けてくれるのか理解が及びません。
なのにそうやって笑いかけて貰えると、堪らなく嬉しいのです。

与えてくださる愛は、いつも綺麗なものです。
私がもらってしまえば、その愛を受けられるはずだった私より優秀な人間の元に渡らなくなります。
それなのに、またあなたがたの愛が欲しいと、浅ましく何度でもそう思って求めてしまうのです。
綺麗なそれをひねくれてしか受けとれない事が恥ずかしくてなりません。
これだけ幸せな環境にいるのだから、私はこれを幸せに感じるべきなのです。

私と関わらなくてはならない苦しみ故に、無意識下で「これは幸せな事だ」と脳があなたを守っているのではないでしょうか

私はあなたの子供でいられていますか?
あなたにこびりつく呪いなのではないかと感じるときがあります。

聡明な彼女に、身体を返さなくてはなりません。どうすれば生きたまま手放す事が出来るのか、どうしても思いつかないのです。お待たせしていてすみません。