全部あいつのせいにしちゃいたい

気付けばこの世に生きていて、保育園から義務教育もしっかり受けさせて頂きました。何なら大学は2回も行かせてもらったし、めちゃくちゃ贅沢で幸せな家庭に生まれて来たと思います。

 

だからなんていうか、大した長さは生きてないのに人生のこの時は嫌だったとか、あんまり言ってはいけないのかも知れないけど、言いたいので書いちゃいます。こうした考えが気に入らない人はいい感じになんか対処して下さい。

 

小学生の頃、私は恐らくいじめに遭っていたんだと思います。

物を壊されたり、否定的な言葉で罵られたり、殴られたり、蹴られたり。

世間でニュースになるような事案に比べたら大した事ではないんですけど、毎日ってなると地味なしんどさがあったというか。もともと仲が良いと思ってた人からの暴力だったので、経緯が意味わかんなくてショックでした。

 

その時にけっこう堪えたのが、見ている周りの対応だったんですね。

クラスメイトが黙って見てるしかないのは、正直仕方ねぇなとしか思わないじゃないですか。集団の中で生きるような、年齢も一桁台の子が、善悪を十分に理解してかつ相手にわかるように伝えるとか、適切な対処をするとか、無理。ハードル高すぎる。

波風立てないようにクラス内のコミュニティで生きられるなら、もう上出来ですよ。

だから見て見ぬふりとかされても、わかる...そうなるよな...って気持ちでした。

 

 ちょっかいは場面を選ばれずに行われました。

授業中とか。そう、実は授業中にも色々あったんですよ。ね、先生。

私は体育の先生にあからさまに顔そらされたの、なんだか記憶に張り付いちゃって。

 

あんまり私の持ち物が壊されるから、筆箱は2個持ちでした。

向こうが何しても注意しなかったのに、彼に抵抗した私を「静かに」って叱ったのは、やっぱりモヤモヤしましたよ。

 

 

小さい私は、人が嫌がる事をしてはいけない  って教えられて、それが正しいと思って生きていたんです。

 

彼が私に掛ける侮辱の言葉が嫌だと、担任のA先生に直接訴えました。もう私しか覚えていなさそうな小さな出来事です。その時の私の精一杯を尽くして、私の信じる考えが、大衆的で倫理的に正しい事だと言って欲しかったんだと思います。

 

大人は正しく、聡明で。体は1つだから気付かない事はあっても、こちらが救いを求めれば、きっと良い方向へ導いてくれると期待してたんだろうな。

 

 

「何かしてあげたいのはやまやまだけど、彼のお父さんって、ほら、この辺りでも結構偉い人でしょう?だからあの、

 ...ね、ごめんね。」

 

 

 

A先生の絞り出したような苦笑いを見てから暫くして、学校へは行かなくなりました。

保健室で1日過ごすのにもいいかげん嫌気がさしてたし。

 

A先生はほとんど毎週 お家に様子を見に来ては、小さく謝って帰っていって。

先生が謝ると顔があんまり見えないので、私は先生の指輪がちょっと光ってるのに目がいっちゃいがちでした。

 

A先生は「先生」って生き物じゃなくて、奥さんとか、お子さんとか、そういう先生にとって大切な人達のためにお金を稼ぎに来てる人なんだな~って、ぼんやり考えてたのを覚えています。

先生が大切にしなくちゃいけない事と、私が大切だと思っていたことは少し違くて。

なんていうかA先生は大人だから、大人になるまでに大切だなぁ~と思ったものがいくつかあって、私が抱えていた大切な物は、先生的には優先順位の1番じゃなかった感じ。

大人になるって、そういうことなんだなぁ。そういうことなのかなぁ。

 

ニュースでいじめの問題が挙げられると、大体「教師は何を見てたんだ」って言われるし

実際に叱られて当然レベルの人も居るとは思います。

 

でもなんか、あの時はすみませんでした。

私、苦しいよ~と言ってA先生に助けを求めてしまった。担任だからとかいう先生も抗えない理不尽な理由で。

先生の人生に、関係ない他人の子供の問題を投げ込んでしまった。

あの時の私がもっと強くて良い子だったら、卒業までもう少しだけ我慢出来ていたら、板挟みの先生がしんどい思いをせずに済んだんだと思います。

ごめんなさい。

 

 

公立の中学が嫌で、受験して、別の中学に行った後の話です。

 

小学校のみんなとは違う学舎になったけど、今までと同じ家から通いました。

 

6年生の最後を家で過ごした私の耳には、ちょっかいを出して来た彼の家庭事情がどこからともなく入ってきます。

 

彼も苦労しているから、

優しいあなたに甘えたくなっちゃったんじゃないかしら、

許してあげてくれると嬉しいな、

きっと反省してると思うし、

良い子だもんね、

ありがとうね、優しいね。

 

 

私も彼のことを許して、さっさと忘れられたら良かったんですけど。

下校途中に彼に声を掛けられた事がありました。

向こうは複数人の男友達と遊んでいて。

 

「うわ~久しぶりじゃん!あっ、ねぇ、みんな、こいつな、俺が小学校ん時、いじめてたやつ!あっはは、元気?」

 

 

彼の中での私は一生おもちゃであるという事実が悲しくて、

彼と遊んでいるというだけで初対面の人達を良くない人間に見てしまう私は醜くて、

きっと彼も成長して、ある程度の分別はついているだろうと勝手に期待して勝手に虚無を感じて、

 

私は自分で勝手に作りあげた、自分に都合の良い彼を許して生きてた事実に気付きました。幻想だった。

 

 

 

昔の話はこれで終わります。良いオチとか付けられたら良いのかもしれないけど。

 

何が言いたいかっていうと自分でもあやふやな所があるんですけど、なんていうか、

結局私は彼のこと許せてないし、正直許したくないなぁと思ってます。すみません。ぜってぇ許さねぇわ。

 

でも許さないでとりあえず成人も過ぎてみた結果なんですが、色んな嫌な人が、「でもまぁあいつよりマシだな」ってスルーできる。わりと利点だと思ってます。

 

良くないなら出来るだけ正しいと思える方向に修正したいし、苦手な人が苦手じゃなくなることは中々に難しいし。しょうがない。

私は私のことを好きって言って接してくれる人が大好きだし大切にしたいし。

 

「あいつよりマシ」って、個人的には心の余裕なんです。あの人苦手だけど、別に私を人間として扱ってくれるし、いっかぁ~みたいな。

 

嫌いな人を作るのを推奨してるわけじゃないし、生きやすい生き方って人それぞれなので、ここまで読んで下さって何ですが、読み終わったら忘れて下さい。

 

どうしても無理~!って思うことを、無理なのに無理して受け入れると、しんどいのでやめた方が良くない?悪いことしてるわけじゃないし。って話でした。

嫌なことされてやだなぁって思ったら、他の人にはしたくないなと思ってます。嬉しい~!って思ったことは、大好きな人にもやりたいし、あわよくばそれで笑ってくれたりなんかしちゃったらもうこの先半年くらいは確実にハッピーだよねって感じ。やっぱりオチは無いんです。すみません。

おわり。